新曲はたのしい
レッスンの空き時間に曲を練習していたら、レッスン室の外から、換気のため開けてあるドア越しに「テデスコですか?」と声をかけられる。
振り向くと、松澤(結子さん)クラスの生徒さん。いつも隣のレッスン室から聞こえてくる曲は、ロッシニアーナとか、序奏とロンド(アグアド)とか、私のレパートリーと被る曲ばかり。きっと好みがまったく一緒なのでしょう。
「そうです!でもまだ始めたばかりで。」(←ほんとはそうでもないんだけど、進まないだけ)
「ぼくはそれ、挫折しました」
「あらーでも、いつも大曲ばかり弾かれてるじゃないですか」
「そこ(今私が練習していた箇所)も難しいですけど、○○○○〜♪(パッセージを歌う)も本来のすごい速さだとぜんぜん弾けなくて」
「そうですね-、この曲そんなところが沢山ありますよね」
そうか、そんなに難しいのか。うすうすは、思っていたけど、登り始めた山で、今はまだ楽しみしかないのである。
カプリチオ・ディアボリコ。= 悪魔の奇想曲。バイオリンの鬼才、パガニーニへのオマージュです。
テデスコ作品は、それだけを弾くようなファンがいる一方で、私はこれまで弾きたいと思ったことがなかったんだけど、もちろんこの曲もこれまでコンサートで、コンクールで、聴いています。が、なぜ今弾きたいと思ったのか。
まったくの新曲を、楽譜を取り寄せて、一からたどっていく。そこが新鮮。このワクワク感はいつ以来だろう。
譜面に書かれているイタリア語の発想記号を辞書で引いていくと、
怒って、激しく、大仰に、流暢に、メランコリックに、甘く、おどけて、優雅に、機知にとんで、真っ逆さまに落ちるように、悩ましげに、憔悴して、…
と、いかにも映画 《愛と狂気のバイオリニスト》で観たパガニーニの姿に重なって、楽しい作業。
いつ弾くかも未定だけれど、最近のギター生活に一縷の潤いをもたらしてくれている作品です。
コメント2件
そうそう、初めが面白いのは当然。
でも壁が来て、そこで止める人は多いけどモッタイナイ。
超えたら、また見えてくる。
それでもやっぱり諦めても、また時間が経ったら出来るかも。
そんなんで来ました。それでも秘境は、私にはまだ見えていない気がする。
うん、どんなことであろうと、何も分からない最初にわくわく、続けてちょっと飽きて、その後に新たなる発見が。。。奥が深いよね、何事も。飽きちゃってそこでやめると知ることのない秘境(大げさ?)。