追悼コンサート&マスタークラス
金曜日は稲垣稔さん没後10年の追悼コンサート、盛会でした。
調べたら、2013年の6月26日に逝去されているのですね。54才だったそうです。稲垣さんをして”ギターを弾くために生まれてきた男” とは、稲垣さんと仲の良かった恩師の言葉。
大物ミュージシャンたちによる、なかなかない構成での演奏会ですね。
おまけに五反田文化センターホール、初訪でしたがすごく素敵な良いホール!!
ブラーボさんとジャンマリーさんの生演奏を聴くのは私は初めてだったのですが、ブラーボさんのラテンそのものの爽快な演奏、ジャンマリーさんの、すごく思いやりのある方なんだろうなと想わせる慈しみ深い表現と美音。見習いたいです。
稲垣さんの、生前の名演奏の動画も流れました。ディアンスのサウダージ第3番。左手も右手も、タッチの強靭さが窺えます。
翌土、日はジャンマリーさんのマスタークラス。
日曜日は私の生徒のひとりが受講生として参加されるので、聴講に行ってきました。
開場を待つ間、初対面のジャンマリーさんと少し立ち話することができました。やはり、演奏から感じられるままのお人柄の方でした。
稲垣稔さんとフランスで知り合い、すぐに友達になって日本にも来ることができた。僕は日本が本当に大好きで、来日するのはいつも楽しみだが、フランスに帰るのはいつも憂鬱だ。特に今フランスは政治が深刻で、マクロン(大統領)はなんでも1人で決めてしまう。僕はこのままずっと日本にいたい。日本の聴衆は素晴らしい。フランスの聴衆はクリティカル(批判的)でちょっとのミスにも厳しい。僕らは機械じゃないんだよ。
また、受講生たちの演奏がたちどころに良くなることにも、日本人の勤勉さが出るのか、生徒の質が良いというようなことを話していました。若い受講生に至っては、フランスに連れ帰って僕の生徒にしたい、とか。笑
右が今回の一連のイベントを主催された、私の恩師でもある田口秀一先生。
ジャンマリーさんも田口先生も、パリのエコールノルマルでアルベルト・ポンセ氏に師事され、ポンセ氏の何よりも音の美しさを大切にすることを受け継がれています。
今回のマスタークラスでも、すべての音を綺麗に出すことと、そのためのテクニックや練習方法に重きが置かれていたように思います。とても熱心なレッスンで、連日忙しいのにさぞやお疲れでしょうに・・。
感動したことがもう一つ。今回、コンサート当日は受付のお手伝いに関わらせていただいたのですが、田口先生の自宅レッスンに通っていた頃、まだ幼かった姉妹が立派に、頼もしく成人されているのに久しぶりにお目にかかって、それはそれは感慨深かったです。お姉さん(ちょっと冷たい)と妹さん(姉に当たられてもなんのそののおおらかさ)、風貌もキャラも対照的だったふたり、大人になっても「まんまやん!」。懐かしいやら、微笑ましいやら。
山に海に忙しいますみんですがたまにはギターもいいですね。いろいろ楽しかったです。滅多にない語学勉強にもなりました。(あなたのフランス語くらいは僕も日本語を話せるようになりたいとジャンマリーさんに言われました、笑)田口先生には感謝の気持ちで一杯です。
追記
大切なことを書くのを忘れていました。ジャンマリーさんのレッスン中の言葉。
「ゆっくり弾く練習を積み重ねることが、速く弾くことへの近道」
プロほどこれを守っていると思います。生徒さんに言ってもなかなかやってもらえないんですがね。これをしないと、音の出きっていない、つまり弾けていないということになります。頭の中のイメージばかりを追って、かつて自分もそうでしたが。
知り合いで、日本からもう帰仏したくないという人は多いね。
私は技術的なことはさっぱり分かりませんが(典型的なよい聴者?)、文章からギターへの皆様の熱意と愛が伝わってきました。音楽仲間、よいですね。