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2022-03-30

コユンババ(懐かしい〜)

ドメニコーニの「コユンババ」(1985)

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変則チューニングなのでそれ用に違うギターを用意

トルコに暮らしインスピレーションを得たイタリア人作曲家による、この変わったタイトルの組曲を私が初めて聴いたのは2000年頃だったでしょうか。ぶったまげたというか、なんて曲だ、一体どうやって弾いているのか!という驚きが先ずありました。それは子供の頃初めてアルハンブラや、アストリアスや、シャコンヌを聴いた時かそれ以上の、久しぶりの衝撃でした。

視覚効果もあって中盤、左手がネックを隅々まですごい速さで行き来するところが、まるで練習を終えて指板を布で拭いてお掃除するが如く、なのも、面白く見どころです。

のちに当時習っていた先生が、「発表会で、弾いてみる?」と楽譜を見せて下さった時。とても珍しい変則チューニングの曲で、1〜3弦と6弦の4本の音を変え、解放弦のままジャラーンと鳴らせばもうそこはコユンババの世界。それだけで感動しました。

本番の発表会よりも、その何週か前に催されたリハーサルで初めて人前で弾いた時、まだ思い描く演奏には足りなかったにもかかわらず、同門のみんながうわーすてき。と言ってくれたのを覚えています。

初ソロリサイタルのプログラムの最後にも弾いたし、その後もしばらく弾いていたのですが、最近ではあまり人が弾くのも聴きませんね。

実は演奏効果がもの凄いわりに技術的に簡単(フレット上の全ての音の位置がすぐ分かって、アルペジオとスラーが難なくできるレベルならとりあえず誰でも弾けるのでは?私の見解です)という事が知られ、聴き慣れてくるとよほど魅力的な奏者か魅力的な演奏でない限り、長くて飽きる(反復の多用)。

聞いた話ですが、天才ギタリストと言われた故I氏も、教え子がレッスンにこの作品を持って来た時、やる気がなさそうに目が泳いでいたとか…

審査員がギタリストではない音楽コンクールでこれを弾けば、(すごく難しそうに聞こえるから)優勝できるんじゃないかと言っていた方も。。

それでも数年前ギタリストの樋浦さんが弾いていたのを聴いて、久しぶりに聴けばやっぱりいい曲なのでした(東京文化会館での演奏は素晴らしかったです)。

でちょっと黄ばんだ楽譜を取り出してみました。

最初は忘れてるんだけど、数回のうちに指が動き出しました。いまだに、新曲もめっきり進まないので(もう楽譜入手して1年経つよなぁ)、ますます余計に、こうしてすぐ音がつなげて弾けることはとても気分がいいのでした。

エキゾチックな響き、トルコの荒野を馬に乗ってどこまでもどこまでも駆けていくような疾走感(と私はイメージしています)と、余韻。楽器の可能性を駆使した造り。やっぱりこんな音楽を考えつくのは私からみればすごい才能。流行り廃れでなく残っていくべき作品だと思うのだけど。

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コメント2件

  • 未央 より:

    技術的なことはさっぱり分からないけれど、美しく心地よい曲だね。音楽は弾き手と聞き手があってなりたつものだ。聞き手は音色を愛でるのであって、技術は二の次だということを忘れないでほしいよね。

  • masuminn より:

    種明かしがされている手品を披露するようなものかな・・って言い過ぎかな。とにかく、聞き手を選ぶ曲になってしまった。手品ファンが集まってるような場所では弾くもんじゃない。
    聴いてくれたんだ、有難う。

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