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2020-06-12

楽器は生き物

私の手元にある2台のスペイン製ギター、マヌエル・カセレスとアルカンヘル・フェルナンデス。前者は2000年製で20才とすると、後者は1968年製で51才。親子みたいだワ?!
はい、ギター製作家のカセレス氏はアルカンヘル氏の弟子であります。

4年半前アルカンヘルさんを迎えてから、カセレス君は、たまーにレッスンで使われるくらいで活躍の機会を与えられませんでした。弾き手の勝手で、ほとんど引退状態です。先日ブログにも書きましたが、アルさんの入院中にカセレス君を使って練習していたのがどうにも役不足に感じられて不満でした。

3月にアルさんが退院して戻ってきて、カセレス君は再びケースに仕舞われ放置状態に。ある日、表面版に、ブリッジから伸びる2本のクラックを発見。ありゃまー。このこはたまに、不具合をおこすのよね・・食べ物が合わないとすぐお腹をこわす子みたいに。今まで修理やオーバーホール入院、結構かかっています。

あまり使わないからといって放っておくとどんどん朽ちていきそうで、すぐに直すか迷っていたところ、昨年のベトナムギターツアー仲間のひとりでアマチュアギター製作家のひらりん(Mr.)が無償で直してくれると言って下さり、お言葉に甘えてお願いしました。

しかしまあ、この楽器は傷みがひどく保存状態がよほど悪いのではないかとか、本当に新品で購入しワンオーナーで使っていたのか?とかの言われように少し凹んだ私・・・そりゃもうメインだった頃は我が子のように可愛がっていたので、ただ単にこの子が繊細すぎるんではないかと思っている。同じ環境に置いている、頑強な夫のアグアド様(1973年製、修理歴無し)と比べて。

メインからサブへ。カセレス君は、引退のような扱いに反発したのだ、楽器も猫と同じ生き物であり、感情は伝わる。ほめれば喜んで応えるしぞんざいにすればそれ相応に・・と私は信じている。

さてその後、ひらりんさんの手により綺麗に補修されて帰ってきたカセレス君。響きもよくなり、コロナ暇で簡単なエチュードなんかをカセレス君で弾いていると、そのアルさんの迫力とは違う簡素な硬質な響きがまた楽曲にしっくりくるなー、とか初めて思えたわけです。こころなしか、最近カセレス君ご機嫌?・・弾き手の勝手な思いこみにせよ。

というわけで、アマチュアに徹しているとはいえひらりんさんのギター工房を見学させてもらって感じた、物理や数学に強そうで、プロじゃないから道具に限界がある中のオリジナルな創意工夫、探究心、器用さを信じてお直しを託しましたが感謝しています。

これからは、優劣ととらえず個性として私の二つの楽器、弾き分け弾き続けていきたいと思っています。

 

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